インターネットやコンピュータにまつわる裁判例やニュースを紹介しています。
                                            (弁護士 土谷 喜輝)
 
<2002/1/23>
MP3.com アドバイスをした法律事務所を訴える
MP3.comは、法律事務所が著作権侵害にならないとアドバイスをしたので、CDをインターネットでダウンロードできるサービスを始めたが、著作権侵害であるとの訴訟を提起され、1億7500万ドルもの和解金を支払わされたと主張し、この損害を賠償しろと法律事務所を訴えました。

http://www.law.com/cgi-bin/gx.cgi/AppLogic+FTContentServer?pagename=law/V
iew&c=Article&cid=ZZZX5HYQQWC&live=true&cst=1&pc=5&pa=0&s=News&Ex
pIgnore=true&showsummary=0


MP3.comのサービスは、同社が大量にCDを買って、それを利用者にダウンロードさせるもので、利用者は、そのCDを聞く権利があることを示すために、最初にダウンロードするときは、CDをディスクに入れたり、CDをオンラインで購入しなければならないというものでした。ただ、一度、この権利を示せば、その後は何度でもダウンロードできるので、不正が起こりやすいと言われていました。(事案の詳細は、インターネットをめぐる米国判例・法律100選<改訂版>39に書いています。)

自社がCDを購入して利用者にダウンロードさせていることから、ナップスター以上に著作権侵害とされやすい訳で、これを弁護士が合法だと言い切ったとは考えにくいです。弁護士は、新たなビジネスに対する法的アドバイスをどのように行うべきかという視点からも今後の訴訟が注目されます。
<2001/9/14>
マフィアボーイに判決 8ヶ月間の収容
アマゾン・コム、ヤフー、CNNなどのホームページを次々と改竄したカナダの少年(当時15歳、通称マフィアボーイ)の判決がカナダで下され、8ヶ月間の少年用施設での拘禁と約2万円の寄附などが命じられました。

http://www.law.com/cgi-bin/gx.cgi/AppLogic+FTContentServer?pagename=law/Vi
ew&c=Article&cid=ZZZOPNT3LRC&live=true&cst=1&pc=5&pa=0&s=News&ExpIgnore=tr
ue&showsummary=0


少年曰く「FBIなどの捜査機関がこのようなハッキング行為を突き止められると知ることができたのが大きい。多くのハッカー少年は自分たちのやっていることが捜査機関に見つかるとは思っていないから。」
<2001/6/18>
米控訴裁判所、意図的なミススペル・ドメイン名を
違法と判断
米国で著名なウェブサイト「joecartoon.com」に
紛らわしい
 ・joescartoon.com
 ・joecarton.com
 ・joescartons.com
 ・joescartoons.com
 ・artoonjoe.com
の5つのドメイン名をした行為がACPA(Anticybersquatting Consumer Protection Act)違反と判断されました。

これら5つのドメイン名は、原告の商標を侵害するといえるかは微妙ですが、少な くとも原告のドメイン名を入力しようとして入力ミスを起こす可能性のあるものであることは確かで、被告の悪意などを総合考慮して、違法とされました。
<2001/3/15>
工業所有権仲裁センター「itoyokado.co.jp」の移転を命令
昨日、工業所有権仲裁センターで「itoyokado.co.jp」について移転命令が出たようです。

http://www.ip-adr.gr.jp/jp_domain/jiken/saitei/jp2001_0001.htm

「goo.co.jp」に次いで2件目です。今回の命令は、登録時点で、すでにイトーヨーカドーは有名であったし、登録者がドメイン名をオークションにかけたりしているので、妥当な命令だと思います。
<2001/2/15>
CAFCアマゾン・ドット・コムのワンクリック特許に関する地裁判決を破棄差戻
 
http://www.law.com/cgi-bin/gx.cgi/AppLogic+FTContentServer?
pagename=law/View&c=Article&cid=ZZZOBWNK7JC&live=true&cst=
1&pc=5&pa=0&s=News&ExpIgnore=true&showsummary=0


ワンクリック特許の有効性が疑わしいとのことで、バーンズ・アンド・ノーブルに対して下されていた第1審の仮処分命令を取り消したようです。プロパテント政策で、第1審で否定されたビジネスモデル特許を認めたりしていたCAFC(巡回控訴裁判所)がこのような決定を下したことは驚きです。

バーンズ・アンド・ノーブルの提出した先行技術によりワンクリック特許の有効性が疑わしくなり、仮処分の要件の1つである「本訴における勝訴の見込み」が否定されたようです。先行技術により、ビジネスモデル特許の非自明性が否定されるというのは、今後のビジネスモデル特許訴訟における1つの流れとなるでしょう。

日本がビジネスモデル特許という言葉に踊らされた原因となった判決が誤りであったという判断ですね。
<2001/2/13>
連邦高裁ナップスターの著作権侵害を認める判決
http://www.zdnet.co.jp/news/0102/13/e_napster.html

http://dl.napster.com/010212-opinion.pdf < 判決原文>

ナップスターの著作権侵害を認めるのは予測された結論ですが、そのサービスの即停止を求めたものではなく、停止すべきサービスの範囲を地裁に決定させるという内容です。すなわち、著作権侵害を行っていないファイル交換もあることを考慮しているのですが、著作権侵害のファイルか否かを区別することは技術的にも困難であると考えられ、今後どのような状況になるのかは予断を許しません。

個人的には、ドイツのベルテルスマンとナップスターが行おうとしている有料化(下記記事参照)の道に進んでいくのではと予測しますが。

http://japan.cnet.com/News/2000/Item/001227-2.html
<2001/2/9>
WIPO、brucespringsteen.comに関するブルース・スプリングスティーンの申立を却下
ブルース・スプリングスティーンは、「brucespringsteeen.com」の移転命令を求めてWIPOに仲裁を申し立てていましたが、WIPOは、移転しなくともよいという裁定を行いました。裁定の原文は、下記を参照して下さい。

http://arbiter.wipo.int/domains/decisions/html/2000/d2000-1532.html

「brucespringsteeen.com」の登録者は、ブルース・スプリングスティーンとは何ら関係のない人物であり、1500ものドメイン名の登録者でもあります。この登録者は、ドメイン名の買い取り等を要求してきていないので、ブルース・スプリングスティーン側がこの登録者の悪意を立証できていないというのが主な理由ですが、今までの有名人に関する裁判、裁定例(madonna.comなど)には少し反する裁定のように思えます。買い取りを求めていなくとも、著名人の名前を使用してアクセス数を稼ぐことによる利益はありますから。
<2001/2/8>
工業所有権仲裁センター初の裁定、goo.co.jpの移転命令
http://www.zdnet.co.jp/news/0102/07/goo.html

前にも書きましたが移転命令が出るとは思っていなかったので驚きです。「goo.co.jp」が登録されたときには、NTT-Xはまだ「goo」という商標等を有し
ていなかったはずであり、その後「goo」が著名になったので、それに乗じてアダ
ルトサイトなどにリンクしだしたものだと理解しています。それが、下記のJPドメイン名紛争処理方針の「不正目的登録または使用」に該当するのでしょうか?第3条b(iv)なのでしょうか?もうすぐ裁定文が公開されるようですので、それを読めば分かるのでしょうが。

http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/doc/jp-drp-policy.html
<2001/1/25>
FTC、顧客情報不正利用に関するDoubleClickに対する調査終了
http://www.law.com/cgi-bin/gx.cgi/AppLogic+FTContentServer?
pagename=law/View&c=Article&cid=ZZZ608HCCIC&live=true&cst=
1&pc=5&pa=0&s=News&ExpIgnore=true&showsummary=0


ウェブサイトなどを通じて取得した顧客情報を不正に利用していたのではないかとして1年にわたって調査されていたDoubleCLickですが、同社のウェブサイト上のプライバシーポリシーに違反する顧客情報利用はなかったと結論づけられたようです。
<2001/1/24>
サンマイクロシステムズとマイクロソフト、Java訴訟で和解
http://www.zdnet.co.jp/news/0101/24/e_sunms.html
<2001/1/24>
VW.net訴訟、控訴審でもフォルクスワーゲン勝訴
http://news.cnet.com/news/0-1003-200-4572067.html?tag=st.cn.1.lthd.ne
<英文>

第4巡回区連邦控訴裁判所は、Virtual Worksがフォルクスワーゲンに高値で売却する目的でVW.netというドメイン名を取得したと認定し、反サイバースクワッティング消費者保護法(ACPA)に違反するとして、そのドメイン名をフォルクスワーゲンに移転するよう命じました。1999年にACPAが制定されてから、商標権者側が勝訴するケースが更に増加しています。ACPAの方が連邦商標法よりも要件が緩やかであるということの他に、社会全体の風潮としてサイバースクワッターは許さないという考えが根付いてきたとも言えるでしょう。
<2001/1/22>
カナダのハッカー少年(マフィアボーイ)有罪の答弁
http://www.law.com/cgi-bin/gx.cgi/AppLogic+FTContentServer?
pagename=law/View&c=Article&cid=ZZZVBMQ65IC&live=true&cst=
1&pc=5&pa=0&s=News&ExpIgnore=true&showsummary=0

<英文>

CNN、Yahoo、Amazon.comなど大手サイトに侵入しサイトの内容を書き換えたりしたカナダの16才の少年が、その多くの罪状を認める答弁を行いました。彼は、昨年4月に逮捕された後、保釈されていますが、現在でも監視付きで、コンピュータには近づけないようにされているそうです。
<2001/1/18>
イトーヨーカ堂、工業所有権仲裁センターにドメイン名移転の仲裁申立
http://it.nikkei.co.jp/it/ebz/ebzCh.cfm?id=20010117eimi161717

最近ドメイン名と商標の紛争が日本でも増え始めました。工業所有権仲裁センターで他に継続している「goo.co.jp」は、gooが勝つのが難しいような気がしますし、「axis.co.jp」は手続きが中止されているようですので(下記参照)、今回の件が、同センターでドメイン名移転が認められる最初のケースになるかもしれません。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20010110/2/
<2001/1/16>
ネットゼロ、「ハイパーシステム」特許でジュノオンラインに対し緊急差止命令
「ハイパーシステム」特許とは、ユーザーがインターネットに接続した際、ブラウザとは別のウインドウに自動的に広告を配信するシステムであり、広告収入によって営業運営する無料プロバイダー等にとっての基幹システムです。この特許は、インターキュー株式会社がネットゼロ社に専用実施権を与えたものです。

http://www.interq.ad.jp/press/release/20000512.html

この特許は、米国で昨年12月6日に発行され(米国特許番号6,157,946)、発行後ネットゼロがジュノオンライン等に対する訴訟を提起していました。そして、カリフォルニア州南部地区の連邦裁判所は、2000年1月5日、ジュノオンラインに対し、第三者の広告をジュノオンラインの広告バナーに表示することを禁止する緊急差止命令を下しました。

http://www.netzero.com/about_us/20010108tro.html

上記命令は、あくまで暫定的なもので本裁判で異なる結論が下される可能性もあるのですが、ジュノオンラインの事業の根幹をなす特許だけにダメージも大きいでしょう。ネットゼロは、AT&T社なども訴え始めており、この業界に大きな影響を与えそうです。
<2001/1/12>
Toysmart.comの顧客情報廃棄 大株主であるディズニーが5万ドル支払
利用者の個人情報は第三者に漏らさないとプライバシー・ポリシーに明記していたToysmart.comが会社更正の申立を行い、その中で財産的価値のある顧客情報を第三者に売却しようとしていた事件です。FTCやオンライン監視グループが提訴を行っていましたが、このほど、大株主であるディズニーが5万ドルを支払って顧客情報を破棄することとなりました。

FTCが提訴した当時のニュースは下記
http://www.mainichi.co.jp/digital/coverstory/archive/200007/18/
<2001/1/11>
三共がWIPOにドメイン名移転申立
http://it.nikkei.co.jp/it/top/topCh.cfm?id=20010110eimi103010

「三共.com」を登録した中国人に対する請求です。この人は、「塩野義.com」や「田辺.com」も取得しているようでサイバースクワッターと考えられます。ドメイン名買い取り請求はまだ行っていないとのことですが、仮にドメイン名の買い取りを求めなくとも、他人の著名な商標をドメイン名に用いて大量の誤ったアクセスをもって広告収入を得るような目的でも、米国裁判の基準ではサイバースクワッターになります。

三共は、相手が日本国外であることからかWIPOへ申し立てていますが、日本の裁判所に仮処分を求めても管轄は認められたかもしれません。ドメイン名の解決手段は、その他にも工業所有権著作権センターなどがあり、どこが利用しやすいのかが今後見極められていくでしょう。
<2001/1/9>
プライスラインがビジネスモデル特許に関しマイクロソフトと和解
http://www.newsbytes.com/news/01/160270.html <英文>

http://it.nikkei.co.jp/it/ebz/ebzCh.cfm?id=20010110df1i020010

ビジネスモデル特許の代名詞ともなっていたプライスライン・ドット・コムの逆オークション特許ですが、Expedia.comで同様のサービスを行っていたマイクロソフト社と和解が成立したようです。和解の詳細は明らかにされていませんが、マイクロソフト社がプライスラインにロイヤリティを支払い、現在のサービスを継続するとの内容のようです。ロイヤリティは多額ではないとのことで、この訴訟に負けると会社存亡の危機に立たされるプライスライン側の事情もあり和解となったのでしょう。

私は、プロパテント傾向が続くCAFC(特許訴訟を集中的に扱う連邦高裁)では分かりませんが、少なくとも地裁ではプライスラインが負けるのではないかと思っていました。ビジネスモデル特許は、企業の中核となる場合が多く、訴訟で万が一にでも負けると会社が潰れるという場合もあるので、そのようなリスクを避けるため今後とも本件のような和解が増えると思われます。
<2000/12/28>
特許庁、「特許・実用新案審査基準」を改訂
http://www.jpo-miti.go.jp/saikin/tt1212-049.htm

特許庁がコンピュータ・プログラムやビジネスモデル特許に関連し、審査基準を改定しました。そのポイントとしては、
(1) CD-ROMなどの媒体に記録されていないコンピュータ・プログラムも「物の発明」として特許の対象となることを明らかにした。
(2) ハードウエアとソフトウエアを一体として用い、あるアイデアを具体的に実現しようとする場合には、そのソフトウエアの創作は、特許法上の「発明」に該当することを明らかにした。
(3) ビジネスモデル特許の審査基準をより具体的に示した。
という点です。
<2000/12/21>
ヤフー社、フランスのナチス製品販売禁止判決に関する異議を米国裁判所に申立
2000年11月20日に、フランスのパリ大審裁で、ヤフー社が英語の競売サイトでドイツ・ナチス関連商品を販売している件に関し、フランス国内では利用できないような措置を採ることが求められていました。

http://cnn.co.jp/2000/BUSINESS/11/21/yahoo.nazis/

これに対し、ヤフー社は、カリフォルニア州連邦地裁に対し、上記パリ大審裁の判決は、米国においては強制力がないことの確認を求めました。

http://www.thestandard.com/article/display/0,1151,21026,00.html

バリ大審裁の判決によると、ヤフー社は、ナチス関連商品を販売しているサイトに対するフランスからのアクセスを遮断しなければならないとされていますが、ヤフー社は、これは技術的に不可能であると主張しています。

本件は、ある国では合法な行為が別の国では違法となることは多々あり、そのような行為が国境のないインターネット上で行われた場合、どちらの国の法律が適用されるのかという非常に難しい問題を含んでいます。
<2000/12/12>
ネット課金特許の仮処分申立棄却
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/comp/119381

権利侵害であるとの通告を多数のISPに対して一斉に出すなどして、ISP業界を騒がしていた「インターネットの時限利用課金システム」に関する特許(特許番号第2939723号)ですが、その主張する特許範囲が広すぎるとして、仮処分申立が棄却されたようです。
<2000/12/6>
ドメイン名商標と同様・ジャックス、使用差し止め訴訟で勝訴
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt26/20001206enni010606.html

日本は、米国の反サイバー不法占拠消費者保護法(Anticybersquatting Consumer Protection Act)はありませんが、他人の著名な商標等をドメイン名に登録するして、不当な利益を得るというサイバースクワッティングは、違法であるとの判断が今後も続くと思われます。

<2000/12/5>
任天堂、ドメイン名紛争で勝訴・WIPO、「ポケモン」「ピカチュウ」認めず
http://it.nikkei.co.jp/it/top/topCh.cfm?id=20001205df1i009505
<2000/11/28>
gooドメイン名紛争仲裁申立
http://www.zdnet.co.jp/news/0011/28/url.html

「goo」は、ロボット検索で有名になりましたが、それより先に「goo.co.jp」は登録されていたのですから、法律的に移転請求権が認められるのは難しいと思われます。NTT-Xとしては、お金を積んででも買い取りたいということだと思いますが。